弱った心に染みる桃

弱った心に染みる桃

昨日の朝、起きたら目眩がした。
低血糖か熱中症かわからないが、とりあえず横になって一日過ごしていた

体調崩すのは嫌だな、とベッドの上で思った。
遠い記憶の小さな頃を思い出した。

小さい頃の私は月に一回病院に行ってたくらい病弱だった。
両親は大変だったろうなと思う。

体調を崩したら遊ぶこともできないし、ずっと横になっていなきゃいけない。
小さいながらに苦痛ではあった。
あれしたい、これしたいとずっと考えていた気がする。

今思うと、そうやって横になるしかなかったからたくさん頭の中で考える人になったのかもしれない。

色んな想像をして、そんなことがあればいいのにと思っていた。
でも叶わないし、と達観していた部分もある。
「いつか」という言葉が嫌いだった。
それなら「今」がいい、と思っていた。

何回も何回も熱にうなされて、何度も何度も色んなことを願って考えていたあの小さな身体。

よく頑張ったなぁと抱きしめたくなる。

体調が悪くなったら桃を食べる、というのが我が家の恒例になってる。
食欲がなくてもするっと食べられるし、水分も取れるからだ。

昨日、私が体調を崩した姿を見た両親は大きな桃を買ってきた。
甘くて、少しすっぱい桃だった。

私にとって桃は優しさと労りの象徴で、食べるだけで少し泣きそうになるのだ。

きっと私はこの先、身近な誰かが体調を崩したときも桃を食べさせるだろう。

体調を崩して少し弱っている心に、桃はいつも寄り添ってくれるから。

 

<2020年8月10日 13:30 noteにて>

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