今と昔、私と両親

今と昔、私と両親

昔から、両親が出会ったときの話を聞くことが好きだった。
私がこの世に生まれる前に起きたことを聞いて、想像することが楽しかった。
今では事細かに話せるくらいだ。

両親は東京で出会ったので、私は今あの頃の2人と同じ土地に行ける。

「あの駅の近くに住んでいた」「あそこでデートした」「ここで知り合った」

実際その駅を通り過ぎたり、降り立ったりしたとき、私はなんとも言えない気持ちになる。

今の私と同じような両親がこの場所にいたということ、ここで様々なことがあったこと。
なんだか、スケールの大きな、宇宙について考えているときのような気持ちになるのだ。

私の人生は私のものだけど、両親の人生がある上で成り立っていて、それは遡れば遡るほど気が遠くなるくらいの数で。

会ったこともないご先祖様にも人生があったのだ。
その延長線上に自分がいるのだ。

そう思うたびに、今生きていることが奇跡のように思え、自分という姿が揺らいでくる。

ゆらゆら、輪郭のなくなるような。

友人や、大切な人たちと同じ時を生きていること。
今この瞬間のこと。

すべて何かに繋がっているのだと思ってしまう。

 

 

今は今しかないので、ただ生きていくしかないのだけどね。

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